ビジネス実務法務検定試験2級 練習問題 29:商取引・決済法:振込取引の法的性質
手形・小切手とは異なる資金決済手段である銀行振込(振込取引)における法律関係に関して、正しい説明はどれか。
- 振込資金を支払っても、受取人口座への入金記帳前は預金債権を取得しない
- 振込取引は必ず手形法の規定が適用される決済手段である
- 振込依頼人と受取人との間に原因関係(売買代金の支払等)がない場合でも、振込により当然に有効な弁済となる
- 誤って別人の口座に振り込んだ場合、受取人は組戻しに応じなくても法的責任を一切問われない
- 振込は必ず当事者双方が同一銀行に口座を持っていなければ実行できない
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正解:振込資金を支払っても、受取人口座への入金記帳前は預金債権を取得しない
振込取引では、受取人が振込による預金債権を取得するのは、受取人の口座に入金記帰(口座への記帳処理)がされた時点です。それ以前の段階では受取人は預金債権を取得しません。
【正解の理由】
判例上、振込による預金債権の成立時期は受取人の口座への入金記帰時とされており、依頼人が仕向銀行に資金を払い込んだだけでは受取人に権利は発生しません。これは誤振込の場合の組戻しや不当利得返還請求の可否を考える上でも重要な原則です。
【不正解の理由】
• 「振込取引は必ず手形法の規定が適用される決済手段である」という説明は誤り。振込は手形・小切手とは異なる決済手段であり、手形法の適用対象ではない。
• 「原因関係がない場合でも、振込により当然に有効な弁済となる」という説明は誤り。振込はあくまで支払手段であり、原因関係の有効性とは別個に扱われるため、原因関係を欠く振込が当然に有効な弁済となるわけではない。
• 「誤って別人の口座に振り込んだ場合、受取人は組戻しに応じなくても法的責任を一切問われない」という説明は誤り。誤振込の場合、受取人は法律上の原因なく利益を得たことになり得るため、不当利得返還義務を負う可能性がある。
• 「振込は必ず当事者双方が同一銀行に口座を持っていなければ実行できない」という説明は誤り。異なる金融機関間でも全国銀行データ通信システム等を通じて振込は可能である。